【新竹編】

新竹のシンボル迎曦門。ロータリーの中央にあり、門までは地下道で行くことができます。

(※1)

台北市内からのアクセスも便利な新竹へ。
白い花舞うなかで、客家の文化に触れてみよう。

台湾の魅力のひとつとして、多民族からなる色彩豊かな文化が挙げられるでしょう。漢人や台湾先住民のほか、中国の沿岸部から18世紀以降に移り住んできた客家(はっか)〈台湾の人口約2300万人のうち18%を占める〉などたくさんの民族が暮らしています。ここ新竹には特に多くの客家人が暮らしていて、町を歩けばその独自の建築、料理、文化を感じることができます。なかでも内湾(※1)と北埔の二ヶ所は古くから客家の集落として、ノスタルジックな街並みが人気の観光スポットとなっています。これからの季節は、油桐花(アブラキリ)の可憐な白い花が開花シーズンを迎えます。台北とはまた違った風情を味わいに、ぜひ足を運んでみてください。桃園国際空港から新竹行きの直通バス(所要時間約40分)が運行しているので、台湾到着後その足で訪れることもできます。

台北駅からのアクセス:台湾鉄道または台湾高速鉄道で「新竹」下車。
所要時間:台湾鉄道/約1時間10分、台湾高速鉄道/約40分

見逃せないイベント

4月中旬から5月下旬に真っ白な花を咲かせる木「油桐」。木の下に落ちた花々はまるで雪のよう。

油桐花(アブラキリ)フェスティバル

台湾の人気ドラマ「5月に降る雪」でも知られる油桐花(アブラキリ)。油桐の小さな白い花が4〜5月に咲き、山全体を白く染め、花弁が落ちて、あたり一帯が白く染まる風景がドラマチックです。
かつて客家の人々がその種から油を採るために集落の周りに油桐の樹を植えていたことから、油桐の花と客家文化は密接な関係にあります。今年の油桐花のイベントのメイン会場は新竹県の南端の十二寮。オープニングイベントでは音楽演奏やDIY体験、マルシェ、散策ガイドなどが予定されています。他に里山ガイドツアーなどが開催される予定です。十二寮以外にもお花見スポットは県内にたくさんありますので、新竹県政府文化局のHPをチェックしてみましょう。

新竹県政府文化局ホームページ:https://www.hchcc.gov.tw/

2024新竹県桐花祭メイン会場
オープニングイベント
場所:十二寮福徳殿脇広場
日時:4月27日(土)10:00〜16:00

新竹駅からのアクセス:台湾鉄道「新竹」駅から台湾鉄道に乗り「竹南」駅下車、「竹南駅東」から苗栗客運バス5810線に乗り換え「十寮坑」下車後、道なりに徒歩20分。
所要時間:1時間30分

ホタルフェスティバル

近年ホタルを見られる場所が少なってきている台湾の中で、注目を浴びているのが内湾地域です。ホタルを楽しむ遊歩道も整備され、毎年4月から6月の時期は多くの観光客で賑わいます。新竹から内湾までローカル線の電車旅を楽しみ、かつて小上海として炭鉱の採掘で栄えた駅前の風情ある商店街や、大きな吊り橋を散策したりと、ホタル鑑賞以外でも見どころ満載です。黄昏時から夜9時頃までの時間帯、ここで見られるのは日本のヒメボタルに似た台湾特有種の「タイワンボタル」と「カギボタル」。3回ずつ儚くゆっくりと点滅しながら群飛する様子はとても幻想的です。夜間鑑賞のため電灯やカメラのフラッシュは厳禁、現地のルールを守ってホタルを鑑賞しましょう。

場所:東窩溪ホタル生態エリア
鑑賞期間:4月〜6月

新竹駅からのアクセス:台湾鉄道「新竹」駅から台湾鉄道内湾支線に乗り「内湾」駅下車、駅を背にして左手側に進み内湾小学校トンネルをくぐると遊歩道。
所要時間:約1時間

こどもの日フェスティバル

台湾は日本から距離も近い上、時差も少なく、子どもを連れて旅行がしやすい場所のひとつです。また温かく人情深い台湾の人々は、レストランや公共交通機関でも子ども連れの家族にとても優しく接してくれます。もちろん新竹も例外ではありません。特に4月4日の児童節(こどもの日)を迎える連休シーズン中は、各地でイベントが開かれ、新竹でも駅裏の新竹公園にて子供向けのミュージカルや大道芸、音楽パフォーマンス、アート体験が連日開催され、各種屋台も並んで盛り上がります。子どもだけでなく大人も十分楽しめ、この時期ならではの良い家族旅行の思い出となることでしょう。

日時:4月4日〜7日
場所:新竹公園

新竹駅からのアクセス:新竹駅からバスターミナルへ出て、公竹路を直進、公園路を左折。

所要時間:約10分

おすすめSPOT

古き良き街歩きや自然を楽しめる一方、新竹は台湾の基幹産業である半導体関連企業が多く集まるサイエンスパークがあり、台湾のシリコンバレーとも呼ばれています。そんなギャップも新竹の魅力の一つとなっています。

北埔

まるで100年前にタイムスリップしたかのような街並みの北埔老街は、慈天宮という廟を中心に散策しやすいのが特徴です。今も客家の人々が伝統を守りながら暮らしを営み、干しエビや干し椎茸、乾燥シナチクなどの保存食をふんだんに使った客家料理や、干し柿や干し梅などのスイーツ、そして玄米や胡麻、ナッツ類をすり鉢でゴリゴリとすりつぶしたものをお湯で溶く伝統的なお茶「擂茶」など、客家ならではの食文化を堪能できます。街中に点在する歴史的建築物、国定史跡の「金廣福公館」「天水堂」、県定史跡の「姜阿新洋楼」などフォトジェニックな美しい建物を撮影したり、ビビットな色あいと花柄模様で人気の「客家花布」を扱う雑貨店を見て回ったり、1日たっぷり楽しめます。

新竹駅からのアクセス
台湾鉄道「新竹駅」から鉄道に乗り「竹東駅」下車、駅前のターミナルから台湾トリップバス5700獅山線に乗り「北埔老街」下車。
所要時間:約1時間半

尖石温泉

内湾よりさらに少し奥まで足を踏み入れると、賑わい溢れる客家の老街とは異なり、タイヤル族のこじんまりとした集落が山間に広がります。尖石温泉は無味無色の弱アルカリ性、炭酸性の「美人の湯」とも呼ばれる温泉です。エリアにはいくつか温泉旅館があり、日帰り温泉が楽しめます。澄んだ空気を味わいながら温泉に浸かれば極楽気分。温泉旅館によっては送迎を頼めるので、内湾の観光とあわせて日帰り旅行もおすすめです。
このエリアから車でさらに10分ほど行った那羅湾では、4月末までキンカセンカの花が咲き、3ヘクタールにも及ぶ黄色い花畑が新竹っ子の春のお出かけスポットとして人気となっています。〈台湾の温泉地では水着やシャワーキャップの着用が必要な施設が多い〉(現地でも購入可)

新竹駅からのアクセス
新竹客運バスターミナルから5608番バスに乗り、「竹東駅」下車、5631番に乗り換え「尖石国中駅」下車後、徒歩10分。
所要時間:約2時間

迎曦門

新竹の駅からすぐ、ロータリーのど真ん中に位置するのが新竹のシンボルとして、第二級古跡にも指定されている「迎曦門(げいぎもん)」です。
かつて「竹塹」と呼ばれる城郭都市だった新竹は、東西南北を4つの門(東:迎曦門、西:挹爽門、南:歌薫門、北;拱辰門)に守られていました。日本統治時代の1902年に城壁と迎曦門以外の3つの門が撤去され、1827年に着工した迎曦門のみが修復を経て当時の姿を残しています。城楼は、当時の中国大陸から運ばれてきた石材を多用した重厚なアーチ型の城座で、屋根の部分はツバメの尾のようにシュッとした中華伝統様式の「歇山重簷式」が採り入れられています。現在では残されたお堀の一部とともに「護城河親水公園」として、市民の憩いの場になっています。200年近くに渡り新竹の人々を守り続けてきた門。一見の価値ありです。

新竹駅からのアクセス
台湾鉄道「台南駅」から中正路を直進。
所要時間:約5分

台湾ならではの定番スイーツ

緑豆糕(リュウトウガオ)

台湾の伝統的なお菓子には小豆、ピーナッツに並んで緑豆がよく使われています。栄養たっぷりでヘルシー、東洋医学では身体の熱を取り、老廃物の排出を促すため美容にも良いと言われる緑豆は、小豆よりちょっと小粒で、優しい上品な甘さが女性に大人気。かき氷やぜんざい、団子、饅頭の餡などにもよく使われています。 見た目も可愛い「緑豆糕」は緑豆の粉と砂糖、ラードを練り上げ、型に入れて抜いたもので、口に入れるとしっとり豆の優しい香りが広がり、舌の上でほろりと溶けていきます。台湾ではお茶請けに用意されることが多く、パイナップルケーキや月餅に続く人気の贈答品。伝統的なお菓子のお店やお土産屋さんに売っていることが多く、見た目も可愛らしいのでお土産にもおすすめです。